本場ローマ
味 カチョ・エ・ペペ
ローマが誇る究極のシンプルパスタ。ペコリーノ・ロマーノと黒胡椒、そしてパスタのゆで汁だけで作る、贅沢でクリーミーな乳化ソースの極意をご紹介します。
「カチョ・エ・ペペ(チーズと胡椒)」は、ローマの食文化を象徴する最もミニマリズムなパスタ料理の一つです。ラツィオ州を起源とするこの一皿の真髄は、パスタのゆで汁に含まれる澱粉と、熟成されたペコリーノ・ロマーノが織りなす絶妙な乳化にあります。ダマを作らずに滑らかなソースを完成させることは、料理愛好家にとって一つの到達点とも言える技術です。
材料
- 400 g スパゲッティ
- 200 g ペコリーノ・ロマーノ(細かく削ったもの)
- 2 tbsp 黒胡椒(ホール)
- to taste 海塩
作り方
- 1黒胡椒を砕く

黒胡椒(ホール)を厚手のビニール袋に入れます。麻雀牌や鍋の底など、重くて平らなものを使って粗めに押し潰してください。このように手動で砕くことで、ミルを使うよりも香気成分であるオイルが豊かに広がり、力強い香りが楽しめます。
Tip: 粗めに砕くことで、チーズの濃厚さに負けない胡椒の食感と刺激的なアクセントが生まれます。 - 2胡椒を乾煎りする

油を引いていないステンレス製のフライパンに、砕いた胡椒を入れます。中火で1分ほど、香りが強く立ち上がってくるまで乾煎りしてください。熱を加えることで、水分を加える前にスパイスの風味を最大限に引き出します。
Tip: 胡椒は焦げやすく、焦げると苦味が出るため、絶えずフライパンを動かしながら注意深く加熱してください。 - 3ソースのベースを作る

パスタを茹でている鍋から、ゆで汁をおたま1杯分すくい、胡椒の入ったフライパンに注ぎます。ジュワッと泡立ち、胡椒の風味が溶け出した液体ができます。これが後の乳化プロセスでクリーミーなソースの土台となります。
Tip: パスタを茹で始めてから5分以上経った、澱粉が溶け出して白濁したゆで汁を使うのが成功の鍵です。 - 4パスタをフライパンへ移す

パスタが指定の茹で時間の2〜3分前(アルデンテの手前)になったら、トングで直接フライパンへ移します。このとき、お湯を切らずに少しゆで汁も一緒に入るようにするのがポイントです。
Tip: フライパンの中で茹で上げることで、麺が胡椒の香りをたっぷりと吸い込み、中まで味が染み渡ります。 - 5仕上げの加熱調理

中火のまま、絶えずパスタをかき混ぜながら加熱を続けます。この動きとゆで汁の澱粉が反応し、麺の表面にシルクのような層ができていきます。水分がほとんど吸収され、パスタがちょうど良い硬さになるまで続けます。
Tip: 途中で水分が足りなくなったら、ゆで汁を少量ずつ追加して調整してください。 - 6チーズを投入する

一度火を止め、フライパンの温度を落ち着かせるために2分ほど置きます。その後、削ったペコリーノ・ロマーノを数回に分けて振りかけながら、手早く混ぜ合わせます。余熱を利用してチーズを溶かしていきます。
Tip: 火にかけたままチーズを加えると、タンパク質が凝固してダマになりやすいため、必ず火を止めてから作業してください。 - 7一気に乳化させる

フライパンを小刻みに揺らし、パスタを激しく煽りながら混ぜます。チーズとゆで汁が一体となり、麺の表面を艶やかにコーティングするまで続けます。この「マンテカトゥーラ(練り混ぜ)」という工程が、究極のクリーミーさを生みます。
Tip: ソースが滑らかにならない場合は、ごく少量のぬるま湯(熱湯ではない)を足すと、乳化が安定しやすくなります。